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ニッポンたのしい。

楽しそうなことを求めて日々右往左往するさまを無様に綴ります。

太宰府のものすごいオシャレなスタバで思わず感じる春の風

~前回のお話~

 

 「この伝説の剣で、山奥に住む悪い竜を倒してくだされ・・・」

勇者にしか抜けないといわれる伝説の剣を手にした私と甘木は、村人の期待を一身に受けつつ博多の地を後にした。山深くに住むという、太古の雷竜を倒すたびに出るのであった。

 

(前回:『博多うろん』にならっていろんなものを濁点抜きにしてみた

 

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「なんとも不吉な雲行きっスね」

「都市伝説によると、道真公は雷神となって京都に雷雨をもたらしたらしい。滅多なことをしたら確実にやられるな・・・」

「謹んでお参りをしなくてはならないね」
「そうっスね。謹みが大事っスね」


そういって二人してどことなくぎこちない足取りで、太宰府天満宮へと歩みを進めました。

 

 

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「一応、歓迎はされてるのかな?」
「みたいっスね」
「来るものを拒まない、道真公の懐の広さが想起させられるね」
「先輩、すげー露骨にヨイショしますね」
「雷に打たれたくなくば、そのぐらいことはしておいて損はないだろう」
「地面ポケモンじゃないと太刀打ちできないっスね」
「なんか、道真公がサンダーみたいになってきたな」
「菅原先輩の場合、サンダーってか、サンダースじゃないっスか? あっちのほうがなんか神々しいし」
「その辺はしらんが、ポケモンに例えること自体罰当たりじゃないのか?」
「日本が世界に誇る文化なので、大丈夫だと思います」
「そうか・・・」
(そもそもサラッとブッ込んだ「菅原先輩」って呼び方自体どうなんだ・・・?)



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「あっ! 先輩、このスタバすげーシャレオツっスね」
「わ、ホントだ! すごいやこりゃ」
「ちょっとお茶していきますか」

 

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「ドリップのショートをホットで」
「じゃあおれは、ホットキャラメルマキアートを、アドショットでください」


(なんて長い商品名なんだだ。マキアートってなんだ。アドショット? ショットをアドするの? ショットってなんだ? ・・・テキーラ?)


「はいかしこまりました!」
オシャレ眼鏡をかけた小柄で可愛い店員さんだった。
「ちょっと聞いてもいいですか?」
「はい、なんでしょう?」


(おお、さすがは甘木。ごくごく自然にお姉さんに話しかけよった。さすがは人見知りと最も縁遠い男。恐るべし甘木。ちょっと憧れるぞ甘木)


「ここのスタバ、すごくデザインがカッコいいんスけど、有名なんですか?」
「ああ、そうなんですよ。隈研吾さんという建築家がデザインしたものになっていまして、結構有名なんですよ。最近だと長崎に新しくできた図書館とか、東京だと根津美術館とかをデザインされた方なんですよ」
「ああっ! 根津美術館!」
「知ってるのか?」
「あの美術館チョーかっこいいんスよ!」
「甘木に美術館巡りの趣味があるとは知らなかったなあ」
「いや、おれの趣味じゃないんすけど、じいちゃんが日本画家してたんで、小さい頃によく連れていかれたんス。尾形光琳の燕子花図とかよくぼんやり眺めてました」
「へえ・・・」


(甘木って、ときどきこういう教養というか、すごく詳しいときあるな。てかじいちゃんが画家とかカッコよすぎるじゃないか。おれんとこなんか先祖代々のじいちゃん全員土百姓だぞ、、、)


「ええー! そうなんですか! わたし実は日本美術専攻で、一度根津美術館行きたかったんです!」
「えっ! そうなの? 日本が好きなんてすごいね!」
琳派もいいんですけど、近代の作品だと速水御舟が特に好きなんですよね」


(リンパって、風邪ひいたときにときどき腫れるやつじゃないのか?)


「ああ! 御舟? 知ってる知ってる。山種美術館で『名樹散椿図』とか『炎舞』とか、観たことあるよ」
「すごーい!」
「今度東京来ることがあったら案内するよ」
「えー!? ホントですか?」
「全然いいよー。ハイ、これLINEID
「あっ、ありがとうございます」
「よかったら連絡してねー。じゃあコーヒーいただいてきますねー」
「ありがとうございましたー。どうぞこゆっくり」


(なんともスムーズに連絡先を渡すではないか、、、それに日本画のたしなみがあるスタバの店員さんとか、どれだけ素敵なのだ私もお近づきになりたいこんど練習でひとり美術館行ってみよっと)


コーヒーを受け取り、外側の席に座ってコーヒーを飲みました。

九州なだけあって距離的に近い韓国からの団体客が多く、表の道をご年配の方々が口々に何かしゃべりながら楽しそうに参道を歩いていました。今日は曇ってはいたけど風はなく、そこへ不意に雲目が開き春の柔らかな日差しが差してきて良い具合になりました。


「甘木に日本画の素養があったとは知らなかったな」
「言ってませんでしたっけ?」
「聞いとらん。びっくりした」
「たまには美術館もいいもんすよ」
「それにLINEのIDなんかいつ書いたのだ?」
「ああ、あれはですね、手帳に名刺サイズにペりぺり破けるページがあるんで、それに予めIDを書いとくんス。で、いざとなったらその一枚を切り離して渡すんス。備えあれば患いなしっス」
「・・・なるほど」


(なんと不埒かつ用意周到なヤツ、、、旅行の予定は一切立てないくせに、、、菅原先輩の雷撃にに打たれてしまうがいい、、、)


私はコーヒーをずずずと飲みつつ、恨めし気に甘木を睨みました。
「で、なんという美術館がおすすめなのだ?」
「あ、先輩も行きます? さっき話してたのは、山種美術館根津美術館っす。個人的には山種オススメっす。広尾にあるんで、恵比寿から徒歩でいけますよ」
「なるほど」


と言って私はスマホのメモ帳機能に『やまたね@恵比寿』とさりげなくメモ書きをしておきました。甘木にはばれないように。哀しいかな、甘木が少し神々しく見えました。

 

ヒュッ、と一陣の風が吹き、穏やかになりあました。葉を落とした広葉樹のように複雑で幾何学的に組み合わされた木組みの間から、いろんな形に切り抜かれた陽の光が足元の石畳の上に差し込んで、ああ、太宰府はどうやらいいところなんだな、という漠然とした思いがもやもやと私の内側から自然と立ち起こりました。

ふと、甘木が飲んでいるキャラメルマキアートのなんとかショットを飲んでみたくなりました。

 

「それ、一口もらっていいか?」
「いいっすよ。ちょっと苦めにしたキャラメルマキアートっス」
「苦め?」
「そっス。エスプレッソのショットをプラスしたやつっス」
「などほど。あ、ありがとう。いただくよ」


初めて飲んだキャラメルマキアートアドショットは、甘い中にもほろ苦さがあり、そこへ教養深いお姉さんの笑顔の記憶も相まって、ああ春なのだなあという思いがしました。


次は私も、このキャラメルマキアートノアドショットを頼んでみようと思った、そんな太宰府天満宮前の春のスタバでありました。

 

 

【スーパーオシャンティスタバ】

太宰府天満宮表参道店 | スターバックス コーヒー ジャパン

 

 

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