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ニッポンたのしい。

楽しそうなことを求めて日々右往左往するさまを無様に綴ります。

ゲストハウスruco、萩のオアシス① ~萩市観光はホテル・旅館ではなくゲストハウス~

山口県は、オアシス見つけました

(しかも一泊2,800円)

 

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居心地がよく、且つ、安い。それがゲストハウスのよいところです。とはいえ、当然ゲストハウスにも当たり外れがあります。変なところに泊まってしまうと、「こんなんならカプセルホテルのほうがまし」と思うこともしばしばでした。

どっこい! このお宿はすごくきれいで、店長(オーナーさん)もすごくいい雰囲気の方で、すごく素敵なお宿でありました。

 

〓〓〓〓〓〓 前回までの博多のお話 〓〓〓〓〓〓

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「甘木よ、、、」

「はあ」

暗いな」

「、、、っスねえ」

「どこだ、ここは」

、っスかね」

「どこのだ」

山口県っスね」

「それはわかっている」

「おれにも、そこまでしか分からないっス。てか、生き方調べたの先輩じゃないっすか」

「うむ。道はあっている。聞いているのは、ココがどこかということだ。お得意のスマホで調べてみてくれ。私のiphone4は、電池が切れた」

「iphone6に変えてくださいよ」

「私は物持ちが良いのだよ。でも電池は変えた。今の電池は3代目だ。しかしもうすぐにダメだ。で、どこなのだ?」

「それが、、、山間すぎて、電波もGPSも拾わないっす」

「、、、そうか」

「はい、、、どこっすかね」

「山口、ってことだな」

「、、、っスね」

 

乗り継ぎの駅、漆黒の闇に包まれた駅のホームで、私と天木は乗り継ぎの列車を待っていました。ホームには、我々二人と、ナイキのスニーカーをはいた大学生らしい青年が一人いるだけだった。テツ分が高いため、ついつい青春18きっぷでの旅程を組んでしまった責任は私にあります。とはいえ、こんなにも暗い駅も久しぶりでありました。

 

「あっ! 先輩! 列車が来ました!」

「おぉ、きたか、、、」

 

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地獄に仏とはこのことでありました。この列車に乗ることで、文明の地へと我々はいざなわれることになる、そう考えるだけで、胸の内が熱くなるのを感じました。

 

プシィーーーーー。

 

というあっけない音と共に扉が、がらがらと音を立てて開き、薄暗い車内が見てとれました。

 

「乗りますか」

「乗るほかはないだろう。むしろ、これに乗らないと、次の列車は何時間後になるか分からんぞ。今日中に着くかすら・・・」

「乗りましょう!」

 

甘木が列車に飛び乗りました。

この路線では途中より、単線・一両編成・非電化であります。列車の中にはがらがらというディーゼルエンジンの音が小さく響き、先に乗っていた部活帰りらしき日に焼けた中高生や地元のおじちゃんおばちゃんたちは、喋ることを忘れたように沈黙をしています。

車窓の外に明かりはなく、時折見えるそれもすぐに通り過ぎてまた暗黒の世界が広がります。ずいぶんと古い車両なのでしょうか、深く染み付いたむっとするような人の臭いが鼻につきました。

 

「なぜ、誰も喋らないんだろうな」

私は小声で甘木にだけ聞こえるように話しました。

「話すと、全部聞こえちゃうからじゃないっスかね?」

「逆になんで山手線ではみんなあんな高らかに喋るんだろうな」

「みんなが高らかに喋ってるからじゃないっすか」

「なんか、鶏が先か卵が先か、みたいな話だな。じゃあ、都会代表として高らかに話してみるか?」

「、、、オレにその勇気はないっす」

「なにかこう、気品あふれる会話をしないといけないところだな」

「気品、、、おれらともっとも遠い領域っスね」

「うむ。、、、黙るか」

「っスね」

 

無言のまま、2時間が過ぎました。

 

「着きましたね」

「うむ」

 

東萩駅で降りました。

先ほどの駅で一緒だったナイキスニーカーの彼も私たちの後から降りて、そのままがらがらとキャリーケースを曳いてさみしげな夜道を歩いていきました。

 

「さて、宿はどこだっけな。住所はこれなんだけど、GPSは復活した?」

「あっ、復活しましたね。ちょっと待ってくださいね。あ、わかりました、これっすね。行きますか」

「よし」

 

と、歩き出したのはよかったのですが、どうにも暗く、人はおらず、背中から夜がしみ込んでくるような気がしました。

真っ黒な川が流れる端を渡り、潰れた旅館を横目に、ときおり横を通る車の明かりを眺めながらごろごろと荷物を曳きながら二人で黙って歩きました。初めて訪れる地の夜道、随分と歩いたような気持ちがしました。本当にこれで合っているのかと思い歩き続けるうち、明かりが増え、ついに、今回のお宿の光が見えました。

 

 

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「おぉ、なんということだ」

「明かりが、ありがたいっス」

「こんばん――ー」

 

と、中を覗くと、10人ほどの人々が集まっていました。

そこでは弾き語りライブが行われていました。オシャレで優しげなお兄さんがギターを弾き語っています。

 

「おぉ」

「暖かいっスね」

「人が、若人がつどっている、、、」

「裏日本の奇跡っスね」

「甘木、いいことを言ったな」

「チェックインしますか」

「だな」

 

中に入り、チェックインを済ませ、人心地がついたところでライブを眺めました。お兄さんは甘い声で、山口の、裏日本の萩の夜に、愛を歌っていました。

 

私は甘木と目を見合わせると、自然とため息が漏れました。

生きててよかったなあ、という安堵のため息でした。

 

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萩のオアシス、rucoでの夜、後半へ続きます。

 

 

〓〓〓 次回  萩のゲストハウス・rucoの夜の後編 〓〓〓

 ↑ 次回 ↑

 

 

 

〓〓〓  萩・広島旅行まとめ 〓〓〓

【まとめ】 楽しく萩・広島観光してきた ~西新宿にて後日談~ 

 

 

 

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