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ニッポンたのしい。

楽しそうなことを求めて日々右往左往するさまを無様に綴ります。

ゴールデン街には、いろんな猛者が集ってた。 ~スペイン人と俵万智~

◆◆ 前回までのお話 ◆◆

 

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 センパイに勧められ、意を決して訪れた新宿は、ゴールデン街。連れだって行ったスペイン人ペドロの手引きによりさっそく外人とワインを少し飲み、続いて近くの2件目のお店へ上がり、低温でジックリ煮込むような大人のドロリとした恋愛のありかたを横目にみつつ、ゲイと間違われていた過去の自分を憐れむ私とペドロでありました。そして手元の携帯は鳴り出したのでありました。

 

【ゴールデン街その①】 

【ゴールデン街その②】

 

 

◆◆ 登場人物紹介 ◆◆

 

わたし

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広島出身ではないけれどカープファン。智徳さんの引退記念ユニフォームがお気に入り。好きな落語家は春風亭一之輔さん。アイコンになっている謎の物体は、後輩が紙粘土で作ってくれた。こうして比べるとわりと似てるかもしれないと自分では思っている。この世で一番うまいのは、コハダの握りだと思う。

 

ペドロ

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スペインの南のほう生まれのペドロ。私とは大学で知り合い、飲んだくれる。私と仲が良すぎたためか、一部留学生からは私ともどもバイないしはゲイ疑惑を掛けられたらしいがいたってストレート。好きな食べ物はお母さんが作ったトルティーヤ。日本の冬は寒いけれど、熱燗が飲めるので嫌いではない。お酒がすごく強い。

 

ナツ姉さん

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私のサークルの先輩。大酒飲み。黒髪ストレートが外国人に好評だそう。でも外国人と付き合ったことはないのだそう。好きな食べ物はお肉全般。メガネ女子。アラサーだけれど、あんまり気にはしていない。

 

 

 

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前回、先客のお姉様お兄様のどことなくエロそうな雰囲気を感じつつ一杯目のお酒を飲み干し、わたしにゲイ疑惑を掛けられていたという知りたくもない事実に驚愕しつつ二杯目のジントニックに口をつけたとき、スマホが鳴りました。

 

「おい、いま、何してんだ」

ナツ姉からでした。

「いまゴールデン街で飲んでんす」

「おお! マジか! いま近くで飲んでるから、そっちいくわね」

 

といって返事も聞かずに電話が切れた。お酒といえば、ナツ姉であります。そもゴールデン街自体紹介してくれたのがナツ姉さんでありますし、それにナツ姉はいろんなネタを持っています。また電話が鳴り、「ついたぞ。いまどこだ」と言われたのでお店の名前を伝えると、「ああ、あそこね。知ってる知ってる」と言うなりまた電話は切れて、

 

「こんばんは~」

 

とナツ姉の声がして、

 

「あら、ナッちゃん! お久しぶりね」

 

と店員のお姉さんが言いました。

 

「ユウさん! お久しぶりです!」

 

とナツ姉も言いました。

 

「え、ナツ姉、常連なんすか?」

「ええ。昔よく来てたの」

「へえー」

「代理で何日かカウンターの中に立ったこともあるのよ」

「ええっ!」

「俵万智みたいでしょ?」

「は?」

「あら、知らない? 俵万智さんってゴールデン街でときどきママさんしてたのよ」

「ほー。あ、てか、副業って、やっていいんすか?」

「ばれなきゃいいのよ」

「ばれないんすか?」

「お金は取っ払いで貰えるから、バレようないじゃない」

「あー」

「そうよー。私もそんな感じよ」

「なるほどー」

 

どうやらこの街は仲良くなると裏バイトができる街のようだった。

 

「ナツ姉、彼、ペドロ。僕の後輩」

「初めまシテ! ペロロです。スペインからきまシタ」

「ええっ、あんたのツレなの!? 相席してるだけじゃないの?」

「こう見えて気が合うんすよ。な?」

「そうダネ。ウメがアウ」

「梅?」

「ちがうよ、ウマね。馬」

「アー、ソウカ。Horseだね」

「そう。馬」

 「てか、僕、ペドロと仲良くしすぎて、ゲイ疑惑出てたらしいことをさっき知りました」

「ははっ、アホだね。でもこのあたりだと普通にBTLGの人も多いから、あんまり恥ずかしいとかいう感覚ないけどね」

「そーなんすか。あれ、ナツ姉は、ストレートなんすか?」

「私はストレートよ。ごくごく普通。むかし一度、この辺で飲んでてレズの子と酔ってディープキスしたことあるけど、なんとも思わなかったわ。やっぱり私は男が良いみたい」

「やっぱ、男は年上がいいんすか?」

「そうね」

「やっぱ、妻子持ちっすか?」

「そうね。ってこらこら!」

「え! あなた、不倫としてるの?」

 

横で聞くともなしに聞いていた先客のお姉さんが驚いて会話に入ってきてくれました。

 

「えっ! いや! そのっ! たっ、たしなむ程度ですが、、

 

といってナツ姉は苦笑いしたりしつつ、パンプスの踵で私のアキレス腱を蹴り下ろしました。さすがは嗜みがおありであります。

<初対面の人にいきなり私の性癖バラすんじゃないわよ!>

ナツ姉はわたし耳元で小さな声ですごみましたが、事実は事実なので、まあいんじゃないかな、とわたしは思いました。

 

 

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「イイわねぇ〜、若いわねぇ~、楽しんでるわねぇ〜」

 

先客のお姉さんはニヤニヤしています。

 

「若い頃思い出すわ~。守るものがまだなにもなかったころね」

 

先客のお兄さんも、隣の先客のお姉さんと怪しく目線を絡ませながら笑っていて、手にしたロックグラスを持ち上げて残っていた焼酎をカラリと飲み干しました。

 

「あら、なくなっちゃった?」

「そうだね。なにかオススメってあります?」

 

と先客の二人が言いました。ユウさんと呼ばれた店員のお姉さんは、

 

「じゃあ、テキーラいっときます?」

 

と言いました。

 

「オー! テキーラ!」

 

ペドロが即座に喜び、目の前にテキーラのショットグラスが四つ並べられました。

 

「じゃあ、スペイン式で、乾杯しヨウ!」

「なにそれ?」

「スペイン式は、まず、

①アリーバ(上へ)

②アバーホ(下へ)

③アルセントロ(真ん中へ・ここでグラスを軽くぶつける)

④イ・パーデントロ!(体の中へ、つまり飲み下すということ)

 で一気に飲むネ」

 

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「長いのね」

「アリーバが上、アバーホが下、アルセントロが真ん中、イ・パーデントロでお腹の中。意味がわかれば簡単ダネ」

「あら、楽しそうじゃない」

 

と先客のお姉さん。「覚えるからもう一回言ってくれる?」と言われ、ナツ姉も先客のお兄さんも一緒になってアリーバやら覚えにかかりまして、それからお店の6人で大合唱となりました。

 

 

「「「「「「ありぃぃーばー!」」」」」」

「「「「「「あばーほー」」」」」」

「「「「「「あるせんとろーー」」」」」」

「「「「「「い、ぱーでんとろーー!」」」」」」

 


グイッと飲みました。たわいのないことを話しつつしばらく過ごしてから河岸を変えました。お店には、メキシカンハットと馬の首のはく製とシヴァ神の置物が置いてありました。木彫りの熊もおいてありました。

 

みたいな顔をしたペドロと、みたいなナツ姉がケタケタと笑っていました。

 

「さて、次はどこいこっか?」

「オレ、ミックスバー、行ってみタイ」

「あら、なんでまた」

「ストレートが遊びに行けるミックスバーはすごい面白イネ。スペインできいたことなイヨ」

「そんなわけで私たちはこれからミックスバーに行ってくるわ」

 

私は帰ります。おつかれした。

 

ゴールデン街、楽しかった!

 

おしまい。 


This photo of Shinjuku Golden Gai is courtesy of TripAdvisor

 

〓〓〓 前回までのお話 〓〓〓

 

 

 

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