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ニッポンたのしい。

楽しそうなことを求めて日々右往左往するさまを無様に綴ります。

前進社の中核派青年活動家に勧誘されてみた

読み物

「暴力革命による共産主義社会を目指しませんか?」

 

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みなさんは革命を志したことはありますか?

 

忙しさにかまけていたある日のこと、ふいに昔のことを思い出したりしているうちに、ふと、彼の目を思い出しました。彼と出会ったのは、震災前の夏。たしか夕暮れどきのことでした。私は大学の部室で一人、司馬遼太郎の『世に棲む日々』を読んでいました。幕末の山口県は萩にて、吉田松陰高杉晋作伊藤俊輔らは、新しい時代を切り開くべく情熱をやしていました。

 

ーーーコンコン。

 

部室のドアが外からノックされました。こんな時間に誰だろう。珍しい。

 

「はーい。開いてますよ」
「失礼します」

 

ガチャリととドアが開くとそこには見知らぬ青年が立っていました。年はおそらく20代前半。ジーンズに地味めの長袖シャツ、短髪で、サッパリとした好青年でした。

 

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(※写真はイメージですのであしからず。本物はここから顔面を少し殴って崩しを入れた感じでしょうか。でも決して悪くない印象)

 

「どうも。こんにちは」
「はあ、こんちは」

 

彼は微笑を浮かべ、私を見据えました。その眼差しの意志はあくまでも力強く、聡明さを感じました。幕末の志士も、きっとこんな目をしていたに違いない、と私は思いました。

 

「ご用は何ですか? あ、入部希望ですか?」
「いえ、こんど私どもの方で集会を行うのでそのお誘いで周辺の大学を回らせていただいているのです」
「集会、、、はあ、、、何の集会でしょう?」
「決起集会です」
「それは、何に対する?」
「いまの社会ですね」
「なるほど」

 

ははーん、こりゃ、新興宗教の勧誘だな。最初、私はそう思いました。
うららかな日曜の午後などにとても人の良さそうなおばあさんやおばさんが二人一組、いろんなお宅を訪ねて回り「今のこの生きにくい世の中を健やかに生きるためのセミナーを行います。よかったらあなたもいらっしゃいませんか?」などとインターホン越しに言って回り、家の網戸越しに向かいの家でそれをやってるのを見ていたら次になんとウチにやって来て、呼び鈴を鳴らされドン引きしつつ失礼のないようやんわりお断りすると「それでは、これも何かのご縁ですので冊子だけでも差し上げますのでもしよろしければお読みください」なんていって「も○みの塔」の小冊子をおいていったりする、アレ。あの類。


そして、ふと、そうだ、コイツをからかってや。そんな気持ちが私の中にムクムクと沸き上がりました。私は神は信じていません。彼は神の存在を確信しているのでしょう。よし、論破してやろう。なんなら論破して彼の信仰心を崩壊させてやろう。


セミナーまでついて行ってしまったらマインドコントロール云々怖いこともあるでしょうが、ここで彼と話しているうちはそんな恐ろしいこともないだろうと思いました。

 

「それは、どういった内容ですか? ちなみに私は無神論者ですが」
「ええ、私も無神論者です」
「あら、そうなんですか」
「ええ。今回の集会は、現政権の打倒と、革命蜂起に向けた演説を行います」

 

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まてまてまてーーーーい!!

思てたんと違ぁーーーーう!!!

 
政権打倒? 革命蜂起!? 

安保闘争とかああいうアレ? 

えっ? 今のこの時代に??

 

「えっと、その、革命というのは、なんていうか、社会民主主義、的なことですか?」
(※旧社会党とかが標榜していた、議会政治を通じた民主的な改革によって共産主義社会を目指す、とかそういうこと。マルクスかぶれの予備校講師がそんなこと言ってた)
「いえ、暴力革命です」
「ん?」
「あくまでも暴力革命を通じ、共産社会の実現を、私たちはめざしています」

 

コイツ。マジか。

 

「えっと、共産党青年部の方ですか?」
「いえ、共産党ではありません。わたしは前進にというとろこで活動をしています」
「・・・はあ。その、あなたは、学生、なんですか?」
「はい。今は休学をして活動を行っています」

 

話を聞くと彼は旧帝大に現役合格し、そして活動に目覚め、わざわざ休学をして東京までやってきて、前進とよばれるところで寝起きして日々活動に邁進しているそうでした。
まあ彼が休学しようが退学しようがそれはかまいませんが、暴力革命っていうと要はゲバ棒振り回して警官隊と衝突する、アレですよね。武器の振り回し方なんか手慣れてたりするのかしら私先手打たないとやられちゃうのかしら一応これでも段持ちなので負けるのかっこわるいから絶対油断すまい怖いよう。
私は傍らにあった木刀(※)を、相手にばれないようそっと脇に引き寄せました。

なんかわからんけどイザとなったらこれでどうにかしなくくちゃならん、大学には確か自治権があって警察は確かあんまり呼べないらしいのでやっぱり自力で対処する必要があるから、最悪の場合コレで軽くしばいてスキを作って腕の関節ねじりあげて大学の警備員さんにつきだそう。そう思いました。手に汗がにじむのが分かりました。

(※武道系の部活なので木刀や杖は当然その辺にあります)

 

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前進社?」
「革命を志す者同士、共同生活を行っています」

「へえ、あなたみたいに若い人もいるんですか?」
「そうですね。仲間は増えています。老若男女での共同生活ですね」

「なんと、女性も」

「ええ」
「みなさん、ずっと、その、革命活動だけをなさってるんですか?」
「そんなことはないですよ。働きながら活動をされている方も大勢います」
「えっ、その、つまり、スーツ着て共同住宅から会社に行って、帰ってきてまた革命活動にいそしむと?」
「そういうことになりますね」
「はあ。・・・なんというか、ソ連が崩壊した今も、マルクス=レーニズムですか?」
「というよりも、資本主義こそ暴力的で間違っていますよね? 今の世の中が間違っている、なので私たちは活動を続けます。単純なお話ですよ」

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ーーーって、おい!!!
なるほど、じゃないぞ! わたし!!
いま一瞬納得しかけたけた!
危ない!!

 

「あー、なんとなくお話は分かりましたので、チラシだけ置いてってください」
「はい。どうぞ、こちらです。あ、今ちょうど、テレビが取材にきたときのDVDがありますので、よかったらみてください」
「どうもありがとう」

 

そういって私はドアを多少強引に閉めました。
それからしばらく耳をそばだてていましたが、しばらく彼の足音が廊下でしていました。他の部室を訪ねて回ったり、ドアの下から今私の手元にあるビラを差し込んで回っているのでしょう。

 

ちなみに、当然ではありますが、他大の学生が学内で宗教や政治思想の勧誘をして回っていい訳はありません。

 

手元の真っ白なDVDはどうやらテレビで放映されたのを録画したのをPCで焼いたもののようでした。しばらくジッとして彼が去るのを待ちました。廊下の音が部室の中まで聞こえるように、部屋の中の音も廊下までよく漏れています。
しかし今すぐコレをみてるのがバレ、コイツ、興味持ってんな、と思われて、またやってきて激しく勧誘されても困ります。

また、そこで私が拒否しまくって、なんだこいつさんざん素振り見せといて冷やかしかよ! なんてキレられて、どこからともなく取り出したゲバ棒振り回されても困ります。彼とは二度と邂逅してはなりません。部室の場所がバレている分こちらの方が不利なのです。

 

私は仕方なく、読みかけていた『世に棲む日々』を再び開きました。

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司馬先生、、文章が、、、全く頭に入ってきません。。

 

幕末の志士に思いを馳せたいところなのですが、目の前、というか、廊下に、現役の革命運動家がいるんですよねぇ。。

 

そうこうするうちに少し外の日が暮れてきて、そろそろ彼ももういないよね? と廊下の様子をそっとうかがい、それからDVDを部室のプレステで再生しました。

 

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なんでも、前進社は80人ほどの老若男女の活動家が同居する社屋を構え、公安警察の24時間監視対象なのだそうです。

 

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やばいものを持っているかもしれないという疑いからか、年に何度かは立ち入り捜査が行われ、抵抗する場合には表門をカッターで切断されたりするのだそう。

 

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てか、「中核派」って、結構有名な気がするな、と思って調べると、

 

成田空港建設に対するいわゆる成田闘争で、中核派の「革命軍」が旧建設省幹部宅や空港公団職員宅などに対する時限発火装置をしかけた放火・放火未遂ゲリラ事件、自由民主党への火炎放射車による放火事件などを起こしている。*1

 

ガチやん。

 

他にも、何か参考になる画像はないかと探していると、結構な数の画像がネットの海に流れていました。

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ガチやん。

 

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ものすごガチやん。

 

 

 

今思えば、ちょっと話を合わせてみた私を変に強引に勧誘してこないところが逆に怖い。おそらく、彼はわたしが冷やかしであることを一瞬で見抜いたのでしょう。ちょっと話を合わせたり、彼らが喜びそうな単語を会話の中で小出しにしてみましたが、それに反応して変にテンションすることもなく、あくまでもスマートな対応を崩さず、それでいてさりげなくテレビで放送された内容を宣伝がてらサラッと置いていくあたり、、、策士!!


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旧帝大に現役で入っちゃう辺りやっぱり頭いいんですね。彼。

そして、その革命家は、目が、キラキラでした。それは、社内でイケイケの部長とか、ベンチャー企業の社長にも似た、リア充の目でした。

 

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信念を持つ人の目はキラキラです。ああいう目の人はなかなかいないような気がします。言うなれば、寂聴さんとか、西加奈子さんとか、シミケンさんとか、、、そんな、目指す方向を見つけた人の迷いのない目をしていました。

迷いこそありませんでしたが、見る物を見誤ると人はいろんな風になってしまうのだなあ、そう思ったある夏の出来事でありました。

 

あ、もちろん私は資本主義の申し子であります。資本主義様々です。ゆるぎなく。

 

 

まあ、世の中広いというか、なんというか、その、

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生存戦略ーーー!!!(なんとなく)

 

といった感じでしょうか。

生存戦略しましょうか。

暴力抜きで。

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