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ニッポンたのしい。

楽しそうなことを求めて日々右往左往するさまを無様に綴ります。

日本酒のトレンドは「雄町」と「ATSUKAN」 ~食い道楽帖その7~

食い道楽帖 読み物

ニューヨークからの留学生は「ATSUKAN(熱燗)」だけを覚えて帰った。

 

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 お酒というと、ビール、ウイスキー、ワインの赤・白、日本酒、焼酎、チューハイ、ジン、ウォッカ、などあげればきりがないが、いま8年間お酒を飲んできた結論として、結局は日本酒が一番だと思っている。

  運動をした後に後輩と一杯やるなビールは最高だ。喉を通るビールの炭酸の刺激と、こみ上げてくる麦芽の苦みの爽快感は他に類を見ない。しかし、わびさびを知る日本人としては年中騒いでばかりもいられない。さあ、いざ、落ち着いて、しっぽりやるとなると、やはり日本酒に落ち着くことになるわけである。上質な、木目細やかな味わいが、料理を引き立て、ほろほろと酔え、翻ってまたお酒が美味しくなる。

 新宿の牛テール屋のオヤジ曰く、昔の日本酒はみな甘かったと言う。保存や輸送の状況が悪く、発行が進んでみな甘くなってしまうのだろう。そこから、鮮度の良い辛口の日本酒が重宝されて、淡麗辛口、なんて言葉が持て囃されたそうだ。

 それが今や、白ワインのように飲みやすい、なんて表現が日本酒に使われる。この形容詞は甚だ気に食わない。そも日本酒が辛くて飲みにくい前提であり、且つ、私は白ワインが飲みやすいとは思わない。怪しい居酒屋で、安すぎる日本酒ばかり飲んでいるからそうしたイメージが先行するのだ。正直、ワインに関しては、ボトル四円以上はしないと、なかなか良い思いはできた試しがない。しかし日本酒にしてみれば、私の好きな『百楽門』なぞ三千円もあろうものなら一升瓶が買えてしまう。それもそのはず、日本は米の国であり、ワインは原産国からの輸送費、重油代が上乗せされている。地産地消ではないが、その国で採れたものをその国で飲み食いするのが一番うまいのは言うまでもない。

 ワインやウィスキーで下手に遊んで通ぶるのもほどほどにして、居住まいを正して日本酒で一杯やるのは王道であろう。

 

長陽福娘 雄町純米吟醸直汲み 1800ml

長陽福娘 雄町純米吟醸直汲み 1800ml

 

 

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 日本酒にもトレンドがある。

 雄町米、このお米の名前をまず覚えておいてもらいたい。

 さていざ日本酒と飲もう、となっても何を基準に選んでいいのか分からない御仁もいることだろう。日本酒の流行りの中で、私は、『雄町米』を推奨したい。件の『百楽門』が雄町米をお得意としていて、猫も杓子も山田錦で酒を造れば美味くなると思っている昨今、西日本の日本酒を選ぶのであれば、一つ雄町米を選ってみるのも面白いということを付け加えておきたい。雄町にしかない力強い味わいを知っておいて損はない。

「最近、雄町米に凝っててね」

 などとサラリと言える御仁は中々のものである。奥ゆかしい和服の似合うご令嬢に持て囃されること請け合いであろう。ちなみに巷では、雄町米を愛する風流人のことを「オマチスト」と言うらしい。なんだか小っ恥ずかしい響きではあるが、良くできた言葉の響きに話のネタとして重宝されている。

 

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 五百萬石米、なんていう加賀のお米でつくられたものも非常に美味しいことを次に付け加えておきたい。

 これらの米で、純米酒を選んでおけばまず間違いはない。慣れない人は、吟醸や、大吟醸などで選ぶ前にまず「純米酒」であるか否かをご確認いただきたい。これは私の好みだが、吟醸でも、大吟醸でも、純米酒でなければダメである。醸造用アルコールを混ぜていない純米酒でこそ、その米の味が分かるためである。

 やたらとうんちくを垂れてしまったが、そんなことより気になるのは今年の雄町米のできである。果たしてどうであったのか。年末の新酒が楽しみである。

 最近は、日本酒にバリエーションが増えて楽しい。讃岐くらうでぃ、なんていう氷と一緒にビール感覚で骨付鳥と一緒に豪快に流し込むなんていうご当地のお酒が出ている。ラベルにアニメものが増えて来て見ていて面白い。涼やかなにごりの発泡酒なんかも悪くない。活性濁りは、結構有名な銘柄もときおり季節限定で出していたりするので見つけたらちょっと買って飲んでみるのが夏の楽しみの一つだ。

 

 

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 やっと本題に入るのだが、大学時代、親友が外人の彼女と付き合っていた。彼女は日系人だっが、いかんせん英語しか話せなかった。日本語を学ぶために日本に来たにもかかわらず、結局その子は一年日本にいて日本語がちっとも話さずじまいだった。しかし、唯一覚えて帰った単語があった。

 ATSUKAN(熱燗)

 ローマ字にするとなんでも映画のタイトルのようになってしまうが、事あるごとに彼女はこのATSUKANを飲んでいた。「ATSUKAN,オネガイシマス」が彼女の最も得意な日本語であった。

 熱燗にすると多少風味が飛ぶことになるため、いい酒はできれば常温で飲みたいものだ。しかし、安めの酒ならば熱燗にするのが一番いい。学生の内は熱燗を飲んで体を温め、そして大人になり今度は懐が温かくなったころには、良い日本酒でしっぽりと一杯やっていただきたいものである。

 外国では「SAKE」というと日本酒のことである。ここに「ATSUKAN」が広がるのは時間の問題なのかもしれない。先だってタイにいったとき、レストランで「八海山」が随分と高い値段で売られていた。ワインや日本酒が持て囃されているようだった。

「でもね、日本に来て、純米酒で、通好みの雄町米なんての飲んでご覧、たまらんぜ?」

 なんて教えてあげたいものである。そう教えれるぐらいには、みんなもっと日本酒を飲めばいいのにと思う昨今。そんなことを思いつつ、自宅で一人、雁木を手酌でちびちびやって、大人になった実感をひしひしと感じる秋の夜長である。

 

TESCOM 酒燗器 SK30

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